《NYクラシック通信》
「METオケin カーネギーホール」 Vol.14, 2011年10月16日
カーネギーホール
METオケ
指揮:Fabio Luisi
ピアノ:Richard Goode
メゾ・ソプラノ:Christine Rice
プログラム
モーツアルト:魔笛より序曲
モーツアルト:ピアノ協奏曲25番
ジョン・ハービソン:Closer to my own life (世界初演2011年)
リヒャルト・シュトラウス:ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯
久しぶりのMETオケ(以下MET)です。実は今回の演奏会はジェームズ・レヴァインでの演奏会の予定でしたが、急病の為指揮者とプログラムを変更しての演奏会となりました。メインに「パリのアメリカ人」を予定していましたが、シュトラウスの「ティル~」に変更になっています。残念です・・・
前プロ前半はモーツアルトの魔笛から序曲です。歌劇場オケの定番といえるでしょう。久々にMETをききましたが、前回のマリンスキーと比べると持っている音色の違いに気付けて面白いな~と思いました。マリンスキーはどちらかと言えば、オーガンジーの様に軽やかで繊細な音色感を持ち、METはそれに比べるとカシミヤの様に重くはないけれどマリンスキーに比べると重厚感がある音色を持っています。
ピアノのコンチェルトも前回のマリンスキーに比べると安定した演奏が聞けました。もちろんチャイコフスキーとモーツアルトではまったく曲想が違いますから、演奏に違いが出るのは当たり前なのですが、今回のソリストはオケの中に音が埋もれてしまったりすることなどなく、淡々と演奏をきかせてくれました。
後半の最初のプログラムは世界初演の歌付きの作品で、Alice Munroという女性の詩に曲を付けたものです。この作曲家については初めて聞いたのですが、ピリッツアーを受賞した作曲家とのこと。詩を書いた作者はThe words of Man booker Internationalという賞を受賞したカナダの作家とのことです。正直に言って、さほど感銘を受けるような作品ではありませんでしたが、メゾ・ソプラノの歌声がよかったです。
メインはリヒャルト・シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯」です。若干15分の曲ですが、演奏するのに大変な技術を要する曲であることは間違いありません。
リヒャルト全体に言えることなのですが、特に管楽器は重要なフレーズを持ち
高い演奏技術が求められます。冒頭のホルンのフレーズは、学生時代構内至る所でホルンの学生が練習していた事を思い出してしまいます。
久しぶりに師匠クラウス(MET首席TP奏者)の演奏をききましたが、音色の輝きがパワーアップしていることに驚きました。いくつまで成長しつづけるのでしょうか(笑)。元々美しい音色の持ち主なのですが、その美しさに磨きがかかり、重厚感とのびやかさがプラスされています。
学生時代、彼の音を聞いただけで調子の悪さが治ったことが度々ありました。
管楽器奏者にとって、良い音を頭の中にイメージすることはとても重要なポイントなのです。最近はどのオーケストラも音色の悪い奏者など一人もいませんが、数十年前は技術だけで音色の美しくないプレーヤーが何人かいたものです。
今回改めて“美しく魅力的な音色を持つ”ことと、“高い演奏技術を持つ”ことがどれほど重要か、ということを再確認することが出来ました。
それにより、初めて人々を魅了し感動させることが可能になるのです。
次回は是非元気になったレヴァインでクラウスの「パリアメ」が聞きたいところです。
By Sumie Sato